農園から工場に戻ってきました。
工場の近くでカカオの育苗を行っています。
病気に強い木と、実がよく成る木を接木します。
品種によって、油脂が多く採れるもの、ポリフェノール含有量が多いもの、香り高いものと様々です。
ここでそれらを育苗し、試験栽培しています。
「チョコレートは発酵食品」です。
嬉しい響きの言葉でしょ?
発酵食品は、美容と健康に良いことで知られていますが、もちろんチョコレートも同じです。
この写真は木箱の中で静かに発酵している様子です。
バナナの葉で覆って行う伝統的な発酵方法です。
発酵は、品種や気温、目的とする風味を得るための方法によりますが、3~7日間で行います。
発酵を終えると天日干しを行い、水分値を一桁台にします。
カカオ豆の発酵は、乳酸発酵、アルコール発酵、酢酸発酵を経ます。
発酵を行うことで、有用成分のアミノ酸や有機酸も生産されます。
さらに、分析していないのでまだわかりませんが、経験上、おそらく微生物が産生するその他の有用成分も生産されていると推測します。
発酵をしっかり行うことが、チョコレートの基本味を作るのに必須の工程なのです。
写真は天日干しの様子です。
これもしっかり行って水分値を下げていないと、日本へ輸入するまでの間にカビが生えたり、虫が発生したりします。
育苗から実を付け、試験、本生産(発酵・乾燥)して出荷できるようになるまでに約2年半かかります。
カカオ豆は農産物です。
国によって、地域によって、土壌によって、品種によって、発酵方法によって、加工方法によって、
環境×遺伝子×技術によって、作り出されるチョコレートの味は無限大です。